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キネ旬で高い評価を受け若い人が手弁当で応援してる映画らしぃ・・。
僕は昔から さう云う映画は何だか影の仕掛人 云うか 単に「売り」が上手いだけ
ってな思いから避けて来た経緯が有るのだけど 今回は素直に席に座ってみた。
冒頭「いわさき ちひろ」のやうな色調の画面にクリスマスに使われる讃美歌を被せ
リトルボーイに「神の御子は今宵しもベツレヘムに生まれたもう」の歌詞を
ぶっつける作者の意図が極めてブラック・ユーモアみたいに聞こえた。
映画は広島から呉に嫁入りした女の視点で順々と描かれてゆくのだけど
義父の病室でグレンミラーのレコードが掛かる場面には違和感を覚えた。
確かに医者がコッソリと その種のレコードを自分の部屋で聞いてた なんて
話は今も残ってるけど おおっぴら なんて聞いた事も無いし当時の状況からしても
考えられない。作者の意図する処は解るけど かう云う時代考証の間違いは
見た人に誤解を招くやうに感じた。他の考証が念入りだったので特に残念に
思った。
主人公の名が「北条すず」。僕は此れを首相の東条サンと童話作家の金子みすずサンから
取った名と思い「撃ちてし止まん」の世相に染まった金子みすずのキャラが主人公
だと解釈したのだけど。
10時50分からの上映なのに「ぴか!」の場面は12時40分で これだけでも
作者が描きたかったんは「ぴか」が有ろうが無かろうが順々と営まれる人間の
暮らし そのものだと思う。其処が上映館が増えてゆく・否 増やしてゆく要因
だと感じた。
世は去り 世は来たる。されど 天の下で行われる人の営みは永遠に変わらぬ。
それを いとおしい思いで見つめる映画。
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